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無所畏懼的前行

思い出せる限

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思い出せる限


「そうなんですよ。そこが、この事件の不可解なところです。白井真紀は、何よりも、子供を失うことを恐れていたはずだ。なのに、どうして、自ら子供の命を絶つような真似をしてしまったのか?」
 そのとき、何かが閃《ひらめ》いた。ほんのわず泡菜 食譜か立ち位置を変えるだけで、騙《だま》し絵は、まったく異った主題を見せる。早苗の中で、一見バラバラの様相を呈していた二つの事件の共通点が、突然、くっきりと浮かび上がってきたのだ。
 早苗が口に手を当てたのを見て、福家は身を乗り出した。
「何か、気がついたことでもあるんですか?」
「ええ。……どう言ったらいいのかしら。赤松さんも白井さんも、もしかすると、自分が日頃から一番恐れていたことを、顕在化というか、実現してしまったんじゃないでしょうか?」
「一番恐れていること? 白井真紀にとっては、たしかに、子供を失うということですね」
「たぶん、赤松助教授には、それが肉食獣に襲われるということなんです」
 早苗は、高梨のメールにあったエピソードについて、り説明した。
 福家の目が、ぎらぎらと輝き始めた。ポケットからメモを取り出して、すごい勢いで書き殴り始める。
「その話は、今初めて聞きました。猫科の動物を怖がっていた、ですか。すると、もしかして高梨さんにも、同じようなことが泡菜 食譜あったんですか?」
 高梨は生前、何を最も恐れていただろうか。考えるまでもないことだった。早苗は、一瞬声を詰まらせた。
「彼は……自分がいつか死ぬということを、何よりも怖がっていました」
 福家は、しばらく呆気《あつけ》にとられたような顔をしていたが、自分の頭を拳《こぶし》で叩《たた》いた。
「なるほど。だったら、符合するな。死ぬのが怖いというのは当たり前すぎて、言われなければ気がつきにくいかもしれない。たしかに、そういう人間が自ら死を選ぶということは、常識では考えられないですね。北島先生。そんなふうに、自分の一番恐れているものを招き寄せてしまうというのは、いったいどういうことなんですか? 何かの精神病か、神経症の一種とか?」
「わかりません」
 早苗は首を振った。
「ある種の強迫観念のために、自分が意識的には望んでいないことを、無意識にやってしまうというケースはあります。ですが、それが死に至る泡菜 食譜ほどエスカレートしてしまうというような症例は、一度も聞いたことがありません。それに、心の病気は[#「心の病気は」に傍点]、伝染しません[#「伝染しません」に傍点]。今回のように、複数の人間に、相次いで同じような症状が現れるというのは、精神医学や心理学では、とうてい説明不能です」
「そうですか」
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